令和6年度診療報酬改定~令和6年12月31までの経過措置について~

長 幸美

医療介護あれこれ

令和6年度診療報酬改定が行われて半年がたちます。今回の改定は、経過措置がたくさん設定されていて、それらをしっかりと把握し適切に対処していく必要が出てきています。

その中で、今月末で経過措置が切れる項目があります。診療所をはじめ、算定されている医療機関が多いと思いますので、1月以降算定をする場合は、忘れずに届出を提出するようにしましょう!

そもそも、経過措置とは・・・?

令和6年度診療報酬改定において、既存の施設基準の要件を見直しした内容の中に、「令和6年3月31日」現在において既に届出を行っている(算定している)医療機関に対し、施設基準の要件を整備するために必要な期間、基準を満たしているとみなして算定を認めらるとされています。
つまり、その期間は、施設基準を満たすための準備期間と解釈できます。

対象となる経過措置は、以下の通りです。

厚労省:令和6年度診療報酬改定において経過措置を設けた施設基準の取扱いについて(事務連絡令和6年12月13日)より

感染対策に関する評価の見直し

今回経過措置の期限が切れることで改めて届出が必要とされる項目は特に感染症の対応についてです。診療所や病院等の医療機関そして、調剤薬局においても、地域で連携をして感染対策を行うことが求められていますが、ポストコロナにおける感染対策の評価が見直され、新興感染症が発生した時や蔓延してしまったときのそれぞれの医療機関の役割に合わせ対応することに見直されました。

厚生労働省:令和6年度診療報酬改定説明会資料より

外来感染対策向上加算

診療所が地域の「感染対策向上加算1」を取得している医療機関又は地域の医師会との連携の下に感染対策行うことに対し令和4年度の診療報酬改定で新たに評価されたものです。

令和6年の改定における施設基準では、①都道府県と「発熱外来の協定(第二種協定指定医療機関)」を結び、②受診歴の有無に拘らず発熱患者等を受け入れる旨を公表することが追加されています。
さらに、外来感染対策向上加算を算定する医療機関において、適切な感染対策を行ったうえで発熱患者等に対応した場合は発熱患者等対応加算が付いていますので、地域のかかりつけ医としては取得しておきたい基準になります。自院において「院内感染対策指針」の作成と「院内感染対策マニュアル」の作成は必須です。後は研修の実施と訓練です。「感染対策向上加算1」を取得している医療機関又は地域の医師会が主催する、新興感染症の発症を想定した訓練は少なくとも年1回は参加しましょう。

今回の改定を受けて都道府県からは協定締結の意向確認や申請書等が診療所に送付され、協定書が届いているのではないかと思います。協定締結ができていない場合や新たに届出をしていない場合などでは、1月以降算定ができませんのでご注意ください。

感染対策向上加算1~3

病院等の入院施設を持つ医療機関についても、役割がより明確になってきました。
「感染対策向上加算1・2」を届け出ている医療機関については、新興感染症発生や蔓延時に病床確保の協定締結(第一種協定指定医療機関)を、そして「感染対策向上加算3」の届出ている医療機関については、病床確保又は発熱外来の協定(第一種協定指定医療機関又は第二種協定指定医療機関)を締結することが要件に追加されています。

さらに、感染症患者の受入れ・・・つまり入院医療の提供に対し、実際に受け入れた場合についても、評価が加わっていますので、病床があり感染症の受け入れを行うのであれば自院の立ち位置を明確にして届出を検討する必要があるのではないかと思います。

また、感染対策向上加算1については、介護保険施設等から求めがあった場合には当該施設に赴いて助言を行うことや院内感染対策に関する研修を介護保険施設等と合同で行うことが望ましいなど、地域との連携についても具体的な内容が記載されています。

届出をお忘れなく!~届出期限は令和7年1月10日まで~

これらの届出に対しては、12月13日発出の事務連絡の中で、「令和7年1月10日までに届出書の提出があり、同月末日までに要件審査を終え届出の受理が行われたものについては、同月1日に遡って算定することができるものとする」と記載されています。
通常であれば、その月の初開庁日までですが、今回の経過措置の届出については日程が変わっていますので、ご留意いただければと思います。

 ※詳細な施設基準の内容は、告示・通知および点数表にてご確認ください。

<参考資料> 令和6年12月23日確認

■厚生労働省/令和6年度診療報酬改定において経過措置を設けた施設基準の取扱いについて(令和6年12月13日発出)

■厚生労働省/令和6年度診療報酬改定説明会資料
  ⇒令和6年度診療報酬改定の概要【ポストコロナにおける感染症対策】(令和6年3月5日版)

2024年12月24日

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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