どう変わる?医療DX推進体制整備加算~令和7年4月1日からの医療DX推進体制整備加算について~

長 幸美

医療介護あれこれ

令和6年度診療報酬改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」は昨年10月以降「マイナ保険証利用率の実績」による3段階の評価に変更されていましたが、令和7年4月以降の評価については、検討する・・・とされていました。「医療DX推進体制整備加算」の届出において添付書類(様式1の6)の4と7が今回の変更点です。要件4は「電子処方箋管理サービスの運用に基づく電子処方箋により処方箋を発行する体制が整備できている」要件7は「マイナー保険証の利用率が一定割合以上である」ここに令和6年6月から経過措置(電子処方箋を発行する体制を有していることは令和7年3月31日までが経過措置)が設けられていました。つまり電子処方箋の使用ができる状態とマイナー保険証の利用率に届出要件の変更があるわけです。

令和7年1月29日の中医協において「マイナ保険証の利用率」とともに「電子処方箋導入の有無に関する要件」を新たに付け、6区分にすることが明らかになってきました。今回は令和7年4月~9月までの医療DX推進体制整備加算がどのように変更となるのか、見ていきましょう!

厚生労働省/「医療DX推進体制整備加算及び在宅医療情報活用加算見直し」(中医協_総8-3_R7.1.29)

なお、今回は令和7年4月~9月までの点数となっていること、そして「レセプト件数ベースマイナ保険証利用率」を用いることにも留意しましょう。

「医療DX推進体制整備加算1」と「医療DX推進体制整備加算4」

マイナ保険証の利用実績は45%以上・・・つまり、1~3月の利用率(30%)と比較して、15%アップすることになります。「加算1」と「加算4」の違いは、電子処方箋サービスの施設基準の要件が満たされているか、否かというところで点数が変わってきます。

医療DX推進体制整備加算1(12点)

「医療DX推進体制整備加算1」の施設基準は、①マイナ保険証の利用実績 45%以上、②「電子処方箋管理サービス」に処方情報を登録できる体制(原則として院外処方を行う場合には電子処方箋又は引換番号が印字された紙の処方箋を発行すること)を有している」ことを新たな施設基準として求める、とされています。

医療DX推進体制整備加算4(10点・新設)

一方、①マイナ保険証の利用実績(45%)以上は満たしているものの、②「電子処方箋発行体制」の要件が満たせない医療機関に対しては、「医療DX推進体制整備加算4」が新設されました。点数は「加算1」より▲2点と設定されました。

「医療DX推進体制整備加算2」と「医療DX推進体制整備加算5」

現状医療DX推進体制整備加算の2を算定いている場合は4月以降マイナ保険証の利用実績は30%以上が条件です。・・・つまり、1~3月の利用率(20%)と比較して、10%アップすることになります。「加算2」と「加算5」の違いは、電子処方箋サービスの施設基準の要件が満たされているか、否かというところで点数が変わっていることは「加算1」と「加算4」の施設基準と同様になります。

医療DX推進体制整備加算2(11点)

現在の「加算2」より+1点で設定されています。
施設基準としては①マイナ保険証の利用実績が20%以上であること、②「電子処方箋管理サービスに処方情報を登録できる体制(原則として院外処方を行う場 合には電子処方箋又は引換番号が印字された紙の処方箋を発行すること)を有している」ことを新たな施設基準として求める、とされています。

医療DX推進体制整備加算5(9点・新設)

一方、①マイナ保険証の利用率(30%)は満たしている必要があるものの、②電子処方箋要件は求められていません。「加算2」から▲2点で設定されています。

「医療DX推進体制整備加算3」と「医療DX推進体制整備加算6」

現状医療DX推進体制整備加算3で算定していた要件はマイナ保険証の利用実績は15%以上・・・つまり、1~3月の利用率(10%)と比較して、5%アップすることになります。
ただし、「小児科外来診療料を算定し、かつ前年(2024年1月1日から同年12月31日まで)の延外来患者数に占める6歳未満患者割合が3割以上」の医療機関では「12%以上」とされ、小児科以外より利用率が若干低く設定されています。小児の場合マイナ保険証の顔認証システムが使用しずらいというところも考慮されているのかもしれません。
「加算3」と「加算6」の違いは、電子処方箋サービスの施設基準の要件が満たされているか、否かというところで「加算1」と「加算4」の施設基準と同様になります。小児科への配慮と思われるものが入っているところも注目点ではないでしょうか?

医療DX推進体制整備加算3(10点)

医療DX推進体制整備加算3を算定している場合、4月以降の要件を満たせば現在の点数(1~3月)より+2点の点数が設定されています。
施設基準は、①マイナ保険証利用率_15%以上・・・3月までと比較して+5%以上となっています。
但し、前述した通り、「小児外来診療料」の算定している医療機関には、前年の延べ外来患者数に占め6歳未満の患者割合が3割以上」の場合は緩和措置(12%以上)がとられています。
②の電子処方箋要件については、「加算2」「加算1」と同様です。
(「電子処方箋管理サービスに処方情報を登録できる体制(原則として院外処方を行う場 合には電子処方箋又は引換番号が印字された紙の処方箋を発行すること)を有している」ことを新たな施設基準として求める)

医療DX推進体制整備加算6(8点・新設)

「加算3」より▲2点低い点数ではありますが、「現状の医療DX推進体制整備加算3」を頑張って算定されている医療機関にとっては、同様の点数(8点)が算定できます。電子処方箋管理サービスに処方情報を登録できる体制が整わない場合は4月から医療DX推進体制整備加算6に移行することになります。
①マイナ保険証利用率15%以上、②電子処方箋要件は求めないとされています。

まとめ

医療DX推進体制整備加算の届出には「電子処方箋」の導入というかなり高いハードルがあり、経過措置が終われば算定できなくなると半ばあきらめていた医療機関も多いと思いますが、4月以降の算定は「電子処方箋要件を満たせない場合」についても、評価が新設されたことは少し安心しました。早々簡単に導入できるシステムではないと思っていたからです。

これらの詳細は、厚生労働省から告示の改正・通知等を2月以降発出されるのではないかと思います。詳細が公開された場合、弊社Webサイトでもお知らせを出したいと思いますので、時々見ていただけるといいかなと思います。

また、施設基準を確認(管理)するためには、事務職員のデータ管理が重要になってきます。今後外来機能報告等も開始されますので、事務職員のスキルアップやRPAを活用した対応を考えてみる必要もあるかもしれません。皆様の参考になれば幸いです。

<参考資料>  令和7年1月30日確認
■厚生労働省/中央社会保険医療協議会 総会(第603回) 議事(R7.1.29開催)
  議題5~8 ⇒議事はこちらをご覧ください

2025年1月31日

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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