接遇レッスン~医療機関のお悩み 伝言ゲームになっていませんか?~

長 幸美

医療介護あれこれ

クリニックの先生方のお悩みの一つとして、スタッフに指示したことがきちんと伝わっていない、・・・つまりスタッフ間の情報がうまく伝わらない、というご相談を受けることがあります。これは多くの現場で聞かれる課題です。さて、クリニックの中で何が起きているのでしょうか?

今日はクリニックにおける情報伝達の課題について、皆さんと考えてみましょう!

伝言ゲーム

皆さんは「伝言ゲーム」をされたことがありますか?

接遇研修の中のアイスブレイクで時々伝言ゲームを行うことがあります。簡単な「○○が、▲▲の時に、◇◇を××した」「○○が好きなものは(形容詞)の▲▲と(分量)の■■だと聞きました」など複数の事柄をチームで競争させたり、伝言時間を区切ったりして最後まで伝えてもらいます。最後の方は、聞いたことを文章に書いてもらいます。そうすると、情報が歪んで伝わり、最初の話から考えもつかないようなお話が出来上がります。時間をかけるとうまくいくことも、忙しい中・・・つまり競争させるとうまくいかないことも多いのです。途中別の話をする・・・という場合もあります。

このように情報が歪んで伝わることで、実際の業務の中では、業務の効率低下や患者対応の質にも影響を及ぼしかねません。

伝言ゲームだと「面白い!」と笑えることも、実際の仕事の現場で起こってしまうと、「え?なんで?」「何度言ったらわかるの?」「何故指示通りにしないんだ!」ということになってしまいます。さてどのように対策したらいいでしょうか?

伝言方法の見直し

この問題を解決するための第一歩は、「伝達方法の見直し」です。口頭での伝達は便利で、簡単ですが、誤解や聞き漏れが生じやすいものです。そこで、いくつか伝言方法を見直ししてみましょう。

ルールは書面やデジタルツールを活用する

口頭だけでなく、書面やデジタルツール(例えば、共有ノートやチャットアプリ)を併用することで、情報の正確性を高めることができます。

復唱することを徹底する

次に大切なのは「確認プロセスの強化」です。重要な連絡事項は、受け取った側が内容を復唱することで、理解度を確認します。これにより、曖昧さを排除し、誤解を未然に防ぐことができます。

朝礼やミーティングを行う

最後に、「定期的な情報共有の場」「確認する場」を設けることも有効です。
朝礼やミーティングなど、スタッフ全員が同じ情報を同じタイミングで確認できる機会を作ることで、情報のズレを最小限に抑えることができます。
もし気になることがあったら、勇気を出して確認することも大事です。

チェックリストの活用

私は作りこんだマニュアルよりも、コアな業務・・・つまりどんな場合でも必ずしなければならないことをピックアップした簡易的なマニュアルを作ることをお勧めしています。
例えば、新患の受付については、①受診動機を確認する、②保険資格確認する、③患者情報の登録する、④問診表を書いてもらう、⑤カルテを回す・・・という具合です。電カルの場合だと、⑤はチェックインということになりますね。
さらに、このチェックリストは、新入職員さんの業務の習得度を確認するときにも役に立ちます。

まとめ

ご相談を受け支援する際には、これらの対策の中から、いくつか試してもらうことをお話しします。
例えば、教えた通りにやらない、指示した通りにやらない・・・といわれても、現場では「イレギュラーな状況で実施することではない」という場合などもあります。つまり、基本動作をイレギュラー事項の時にも行っている場合もあるわけです。これでは問題が生じかねません。問題が起こる前にイレギュラーであれば相談する体制を作り上げることが必要になってきます。
そこで、最後にお伝えした「チェックリスト式の簡易的なマニュアル」を作成していると、これはコアな作業手順なので、ココにかかれていないことをするときには確認してね・・・と伝えることによって、イレギュラーな場合は何を聴かないといけないかということが新入職員さんの中でも把握ができます。
この方法を採用することにより確認しないで勝手にやった!ということがなくなり、教える側も教えてもらう側もストレスが少し減りますよね。
これらの対策を取り入れることで、クリニック内の情報伝達が円滑になり、より質の高い接遇へとつながるでしょう。何が起こっているのか、じっくりと立ち止まって考えてみると、案外解決することは簡単なことかもしれませんよ。頑張っていきましょう!

2025年2月3日

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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