接遇レッスン~こんな電話応対、皆さんはどう感じますか?~

長 幸美

医療介護あれこれ

最近、行政や銀行、病院など、公的なところにも電話をかけることが多いのですが、そんな中で、残念な電話応対に出会うことが多くなってきました。
そんな残念な応対をされると私の気持ちは(ううう・・)でも無駄にイラつくのはもったいない!!
今回ご紹介する事例を電話応対向上に役立て、接遇のスキルアップに役立てませんか。

こんな対応されたら、皆さんどう思いますか?

まずは、最近立て続けに遭遇した電話対応について、事例を紹介します。
皆さん、同じような経験をなさってないでしょうか?

事例①「え?なに?もう一回お名前いいですか?」

「ササキソウケンのチョウです」と名乗って電話をかけるのですが、2回ほど聴き直され、一度で正確に聞き取っていただけることはありません。ま、私の活舌が悪いというのが一つの原因なのでしょうが・・・((笑))

その時に良く遭遇するのが・・・
「え?? もう一回お名前いいですか?」
「タカキ?何ですか?」
「あ~~ササキショーケンさんですね。で?ショウさん?? キョウさん???」

書類の送付を依頼して、「ナガイと書いて「チョウ」といいます」・・・と説明して「わかりました!送りま~す!」といわれて、送られてきた封筒には「ナガイさま」と書いてあってがっかりしたこともあります。

事例②「え?うちの職員ですか?」

最近の銀行さんの対応です。電話の対応でまず複数の支店担当の交換手の方が電話を受けるケースやどんな要件かをボタンで指定して、支店につないでもらう銀行さんなど、様々になっています。この事例はそのような銀行さんで本部の方から紹介され、お電話した時のことです。
「H様お願いしたいのですが・・・」と取次ぎをお願いしたところ・・・「あ・・・Hですか? うちの職員ですか? ▽▽支店のHさんですかね? 今度いつ出てくるかわかりません!」

長期のお休みなのかと思い、来週もう一度お電話することを申し上げ「電話したことをお伝えいただけますか?」と伝言をお願いしたところ・・・「え? 伝えないといけませんか? いつも別の支店にいて、いつ来るかもわからないし、連絡が取れるかどうかわからないんですけど・・・」とのお答え。

私の頭の中は「?????」状態です。電話を掛けたのは、とある銀行の本部チームからの依頼で「支店」を指定されたので電話をしているのですが、連絡が取れないとはどういうことなんでしょう?
驚いたことに、「本部からの紹介で電話している」ことをお伝えすると、「え?本店の誰ですか?そんな人いたっけ???」

さて、そのような返答を受けたとき、皆さんはどう感じますか?

事例③「代理~、電話、デ・ン・ワ~~!」

これまた別の金融機関の方ですが、電話の取次ぎを依頼した時に、保留にせず、大きな声で、「代理~~、で・ん・わ~~!」って!叫んでます。この銀行は仲良しこよしなのかしら??? 
「代理」というからには役職者の方に、「早く早く!」っていったいどんなお局様なのだろう?と私の頭はいらぬ想像をしてしまいました。

事例④毎回、初めて?!

どんな事業所さまも、行政様であっても、人員が少なく、ギリギリの状況でやりくりしておられるのはとてもよくわかります。しかし・・・この事例は継続してご相談しているときに、毎回最初からの説明を求められる役所との対応で起きたことです。

私  「お忙しいところ恐れ入ります。先日からご相談している「○○」の件でご連絡しました。
相手様「え?「○○」???なんだったっけな~~」
私  「?!」
途中まで説明をしていくとようやく思い出されたのか、
相手様「あ~~ぁ!あの件ね! で、何だったっけ?」
相手様は、「いろいろと相談案件が多くて、「〇〇」って言われても、すぐにピンとこなかった!」と言い訳をされますが、さて、本当にそれだけでしょうか? 
そのような対応を受けたら、皆さんだったら、どのように感じられますか?

自分にとってはたくさんの事例の一つでも、その人にとっては「たったひとつ(一人)」の重要な案件(相談)

私も顧問先とのやり取りがあり、複数の案件や相談事を受けています。
私にとって複数案件の一つであっても、相手様にとっては、大事な「わたくしごと」なのです・・・

たとえて言えば夜空を見上げたときにたくさんの星がキラキラ輝いています。「きれいだなあ」と思うのですが、その一つひとつが何なのか・・・気にしていないのが普通の方の感じ方ではないでしょうか?木星も火星もたくさんある星の中のひとつ。星の違いは感じない。そんな視点で電話を受けていないでしょうか?

「私」を、大事なたった一人の「ヒト」と考えると対応が変わってきませんか?受けた電話はたくさんの電話の中の一本の電話かもしれません。ですが、その本人にしてみれば、大事な一人の「私」であり、一本の電話なのです。

そんな思いで、先ほどの事例を見てみると、何が問題なのか・・・わかりますよね?

事例①の場合・・・何度も聞き返されたらどんな気持ちか想像してみましょう!

私は何度も、「なに?」と聞き返された時、「活舌が悪くて申し訳ございません」とすぐに謝りたくなります。一時期は、声が細いことや活舌が悪いことを苦にして、ボイストレーニングに通って、発声や活舌の練習をしたこともありました。対面の場合は、手元資料を活用して、様々に工夫をしてきましたし、手振り等で補うこともしています。
しかし電話の場合そういうわけにはいきません。電話は「声のみ」の対応となるからです。発音しにくい「音」については、ゆっくり言ったり、聴き取れる方法・・・例えばローマ字で伝えるなど、工夫が必要です。

それと同時に聴き取れなかった側の方も何度も聞き返して「ごめんなさい」という気持ちは大事にしてほしいと思います。「聴き取れるようにはっきり言わないあなたが悪い!」と思っていると必ず相手に伝わり、「何なのよ!」と怒りを買ってしまいます。注意したいですよね。

事例②の場合、自社の職員は身内です!

外部の方から見ると、先ほどの銀行の場合では、「同じ銀行の職員でしょ?」「知らないってどういうこと?」と思われても仕方ありません。病院や診療所の職員であっても同じです。つまり、相手の方からすると「新入職員」も「ベテラン職員」も変わらないのです・・・同じ「病院の職員」・・・「身内」なわけです。

「家族」と言い換えてみますと、家族=身内のことを「知らない!」と言い切ることは、相手に不信感を植え付けてしまうことがあるわけです。新入職員の場合、せめて同部署の方の名前は憶えていてほしいと思います。仮にわからなかった場合、「少々お待ちください、確認してまいります」と伝えて、先輩に確認するようにしましょう。

「え?なに?」「誰だっけ?」など、電話をかけてきた人が不安になるようなことは避けましょうね。

事例③の場合、プライベートな場でないことを意識しましょう!

職場の中で皆さん和気あいあいと仕事をしているのはとても微笑ましいものですが、プライベートな場ではありません。仮に家族的な付き合いをしている上司であっても、パブリックな場面では上司と部下です。「代理ィ~~電話デ・ン・ワ!」なんて言う声が聞こえると、この職場大丈夫かな?と不安になりますよね。

取り次ぐときは「少々おまちくださいませ」と伝え、「保留」にして取り次ぐこと、分からないことを確認することも大切ですね。

事例④の事例 相談されている案件は同じ部署で共有しましょう!

外部の方に何か相談や依頼をした場合、また電話や来客が予定されている場合は同じ部署や受付に連絡をして情報を共有するようにしましょう。
初めて訪れるクリニックや病院、若しくは事業所で「お待ちしておりました」「伺っております。少々お待ちください」といわれるとホッとするのは私だけではないと思います。

電話も同じです。

医療機関から事務所に電話があり、留守番電話に伝言がなかったときなどに、相手様の名前がわからない状況で、こちらから折り返し電話をかける場合があります。
そのような時に当方の名前を言っただけで、「折り返しのお電話ありがとうございます。長様ですね。○○が電話したと聞いております。つなぎますので少々お待ちください」とすんなりつないでもらえると、本当にホッとするものです。

残念な事例から学んだこと

仕事柄電話をかけることが多く、以前に比べて、集中センターでの対応や機械による振分けなど直接電話を受けるという医療機関(銀行も)も減ってきました。銀行や行政の窓口でも、番号札により機械的に受付の順番を示すケースがほとんどです。さらに予約での対応ができるような状況が増え、顧客が窓口に殺到するというような緊迫した状態での窓口業務も減ってきました。落ち着いて窓口業務等を行うことができるのはとても良いと思いますが、その反面コミュニケーションも希薄となり、残念な対応が増えているように思います。

「電話の取次ぎ」ひとつとっても、機械的に捌けばよい・・・ということはいかがなものかと思うのです。
相手は自院(自社)の状況はよくわからないのが通常だと思います。
外部の方からの電話はどのような電話かわからないこともあり、不安が付きものです。
電話よりも、SNSでの連絡が増えている現代では、電話の取り方(使い方)もわからないという不安もあるかもしれません。しかし、すべてを機械で処理できるものではないので、電話対応をする方が困らないように、情報を共有することや自院(自社)の職員のことを「知る」ということがとても大事なことではないかと感じています。皆さんの医療機関は如何ですか?ぜひ見直ししてみてくださいね!

2025年3月10日

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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