
セミナー報告:ベースアップ評価料について
長 幸美
医療介護あれこれ令和7年3月18日(火)北九州市医師会さまの医療経営講演会にて、当社人事コンサルティング部の石井から「ベースアップ評価料によるベースアップの必要性、賃上げの流れについて」、医業コンサル課の長から「ベースアップ評価料の届出及び報告について」をテーマにお話しをさせていただきました。
この「医療経営講演会」は医業経営支援を目的とした講演会で、今回は約50名の方のご参加を頂きました。出席された先生方より、とても熱心に質問も数多く頂き、講演後も個別のご質問が続いた事から、先生方のご興味が強いテーマであることを感じました。
令和6年度の改定では、「賃上げ」が重点課題として挙げられました。
介護保険による「介護職員の処遇改善」が12年前に開始され、徐々に手厚くなってきています。2年前の(令和4年度)診療報酬改定では、コロナ禍に感染者対応を行う急性期の看護職員に対し、看護職員の処遇改善も新設されていましたが、今回の「ベースアップ評価料」については医療にかかわる職種のベースアップについて診療報酬上で充当できるものになります。
しかし、梯子を外されるのではないか、そして何よりも申請が難しくて・・・つまり、ベースアップの計画書や報告書など、かなり手間(負担)がかかる内容になっており、基準の届け出や算定を躊躇されるケースもかなりあったのも事実だと思います。病院で約5割強、診療所で3割強の基準の届出にとどまっていることでも明らかですね。
ただ、近時、看護職だけではなく、事務職員も採用が非常に難しくなっている状況があります。無尽蔵にお給料を上げていくことができれば、解決できるかもしれませんが、そういうわけにはいきません。医療機関は診療報酬で診療に対する「価格」が決められており、人口減少のこの時期に簡単に収益をアップさせることは難しいのが現状だと思います。そのような中で、大手の企業からは今年のベアや初任給の見直し等が発表され、医療専門職といえども、一般企業に流れていくことが懸念されております。
このような状況の中で、ベースアップ評価料を活用することや採用対策としてのお給料の体系等についても、見直しが必要になってきているのではないかと思います。
今回の講演会ではそのような「ベースアップ」について経営者の方々に考えていくヒントになるといいなと思います。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
私ども佐々木総研では、税務会計をベースにしながら、人事労務や医業経営全般について、様々な角度から先生方のお悩み・ご相談をお受けできるように様々な専門職が連携しながらご支援させていただいております。皆様の医療機関でも見直してみられませんか?
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2025年3月26日
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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